Schwarzの不等式の素朴な証明
イントロ
Schwarzの不等式は$n$次元ベクトル空間などの三角不等式の根拠となる重要な不等式である.Schwarzの不等式の証明でよく知られているものには,ある$2$次方程式の判別式を使うもの,正射影と直交分解によるものがある.これらの証明は高校生でも扱えるほど初等的ではあるが,読んでもSchwarzの不等式をわかった気分にはならない.これはどんな発想からその証明に至ったのかがわからないことが理由ではないか.今回,2つの有名な証明方法を紹介した後,より素朴な発想の証明を紹介する.この記事の構成は
- 内積・ノルム・Schwarzの不等式・三角不等式
- 判別式による証明
- 直交分解による証明
- 素朴な証明
である.
内積・ノルム・Schwarzの不等式・三角不等式
内積
(ユークリッド)ノルム
判別式による証明
直交分解による証明
素朴な証明
Maxwell方程式の解は波動方程式を満たす
Maxwell方程式の解は波動方程式を満たしていることを確かめる. 今読んでいるEvansの教科書の章末問題を日本語に翻訳して引用する.
$\E =(E^1, E^2, E^3),\ \B =(B^1, B^2, B^3)$はMaxwell方程式 \begin{equation} \left \{ \begin{alignedat}{1} \E_t&=\cur \B\\ \B_t&=-\cur \E\\ \divergence \E &=\divergence \B =0 \end{alignedat} \right. \end{equation} をみたすとする.このとき$\ \E_{tt} -\Delta \E=0, \B_{tt}-\Delta \B=0\ $を示せ.
Lawrence C. Evans, Partial Differential Equations 2nd edition, AMS
ここで $ \E, \B $ はそれぞれ空間変数として$x_1, x_2, x_3$を,時間変数として$t$を持つとする.$E^i, B^i (i=1, 2, 3)$はそれぞれ実数値関数で、肩の数\(i\)は冪ではなく添字を表す.$\E, \B$は3次元ベクトル値関数である.$\Delta$は空間変数に関するラプラシアンを表す.すなわち$\Delta \E = (\Delta E^1, \Delta E^2, \Delta E^3),\ \Delta E^i=\sum_{j=1}^3 \frac{\partial ^2}{{\partial x_j}^2}E^i$である.$\cur, \divergence$も空間変数に関する微分作用素とする.また、\(\E, \B \)はなめらかであると仮定する.
証明 仮定から次の等式が成り立つ. \begin{equation} \begin{alignedat}{1} \E_{tt}&=(\cur \B)_t\\ &=\cur (\B_t)\\&=-\cur \cur \E . \end{alignedat} \end{equation} 右辺を整理すると$\E_{tt}=\Delta \E- \mathrm{grad}\ \divergence \E$を得る.仮定から$\divergence \E =0$だから右辺第二項が消えることに注意すると,$\E$が波動方程式を満たすことが示された.$\B$についても\begin{equation} \begin{alignedat}{1} \B_{tt}&=-(\cur \E)_t\\ &=-\cur (\E_t)\\&=-\cur \cur \B \end{alignedat} \end{equation}に注意すれば同様に波動方程式を満たすことが従う.
$\square $